有料老人H「新たな登録制度」具体化へ/2027年度障がい福祉報酬改定「質重視」へ

有料老人ホーム「新たな登録制度」具体化へ
中重度化・夜間対応に備える建物・設備とは?

■囲い込み是正に向けた「新・登録制度」
厚生労働省は「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を開催し、今年6月に公布された改正法に基づく「新・登録制度」の具体化に向けた議論を開始しました。

いわゆる「囲い込み」の是正に向け、情報の透明性向上やケアプラン・介護サービスの独立性を確保することが目的です。国は具体化に向けた論点として、①登録基準、②登録事務、③対象ホームの範囲、④入居者紹介事業者の優良認定制度の4点を提示しました。

登録事務においてはシステム上で登録申請(届出)・審査・情報公表まで完結できる仕組みを検討するなど手続負担軽減に配慮される一方、自治体の「第10期介護保険事業計画」に反映され、まちづくりと連動した評価軸となる点を押さえておく必要があります。

■制度適合のメリットと潜む「重大なリスク」
登録制度に適合することは、「透明性の高い優良な施設」として利用者や行政から選ばれやすくなる好機です。

一方で、人員体制や建物・設備が今後の登録基準を満たせなければ、事業者にとって大きな経営リスクとなり得ます。

厚生労働省の資料によると、住宅型有料老人ホームでは、要介護3以上の入居者が約56%、医療処置を必要とする入居者が13.4%を占めています。入居者の中重度化が進む一方、専従の看護職員を配置している施設は20.3%にとどまります。

検討会では、「中重度の入居者数に応じた人員配置の明確化」や、訪問看護の別表第7・第8などを参考にした対象範囲の整理を求める意見が示されました。今後、夜間の急変・災害対応を含む登録基準が具体化されれば、看護師が不在となる時間帯や少人数夜勤を前提とした現在の運営体制では、対応が難しくなる施設も想定されます。

今後、登録や情報公表の場面で施設の体制面の弱点が明らかになり、利用者・紹介事業者からの評価や入居率に影響する可能性があるため、人材確保だけで解決しようとせず、見守り設備、ナースコール、防災設備、避難・搬送動線など、少人数でも安全性を確保できる建物・設備面の見直しを早めに進めることが重要です。

■経営と現場のギャップ
これまでの内容を聞くと経営陣はこのように考えます。「基準適合のために人員を増やしたい」

しかしながら、現場からは「採用もコストも限界で夜勤を増やせない」という悲鳴が上がります。

看護師が不在となりがちな少人数夜勤帯に急変や災害が起きた場合、現場スタッフの精神論や運用だけに頼る対応には明らかに限界があります。

その結果、制度対応を急ぐ経営側と、運用の限界に直面する現場とのギャップが広がれば、離職やサービス品質の低下につながりかねません。

■弊社からのご提案
この壁を打ち破る鍵は、人件費増や採用だけに頼らず、見守りセンサーの設置、夜間の緊急時にも対応しやすい避難・搬送動線の整備、防災機能の強化といった「ハード・環境面の工夫」です。

安全基盤を整えることで、
少人数夜勤でも緊急時対応力を高め、現場スタッフの心理的負担の軽減にもつながります。

制度改定の波を乗り越えるには、人員体制の検討に加え、「設備・環境整備」を組み合わせる発想が重要です。弊社では、これまでの経験を生かし、建物・設備の面から安全性と運営効率を高めるご提案を、事業計画やご予算に合わせて行います。

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2027年度障がい福祉報酬改定「質重視」へ

工賃・就職者数だけでは測れない「支援の価値」

■拡大を続ける障がい福祉  報酬は「量」から「質」へ
2027年度の障がい福祉報酬改定に向けた検討会が、
8月27日に開催されました。

障がい福祉サービスの利用者は約170万人、国の予算額は約2兆3,000億円に達し、制度施行時と比べて約4.5倍に拡大しています。2024年度の報酬改定後も総費用額は12.1%増加しており、制度を持続させるための見直しが避けられない状況です。

一方、物価高騰や賃金上昇、人材不足への対応も必要です。報酬を一律に抑えるだけでは、必要な人材を確保できず、地域のサービス提供体制そのものが維持できなくなるおそれがあります。

そこで厚生労働省は、事業者指定や指導監査に加え、報酬面でもサービスの質を確保・向上させる「メリハリの利いた報酬体系」の必要性を示しました。

今後は、利用者数を増やして事業規模を拡大するだけでなく、「誰を受け入れ、どのような支援を行い、地域での生活につなげたか」が問われる可能性があります。

■「目に見える成果」だけを 追いかける経営の落とし穴
就労系事業所にとって、工賃額や就職者数は支援成果を示す分かりやすい指標です。

「工賃を上げれば評価される」 「就職者数を増やせばよい」

経営側がそう考えるのも無理はありません。
しかし、数字だけを追いかける経営には、大きな落とし穴があります。

成果を出しやすい利用者を優先する一方、支援に時間がかかる重度障がい者を避けるようになれば、制度が目指す「希望する地域で暮らし続けられる支援」から離れてしまいます。
検討会では、重度者をどれだけ受け入れているか、受け入れを断った場合にはどのような理由があったのかといった情報も、成果と併せて公表する必要があるとの意見が出ました。

また、高い工賃を実現している事業所に、本来は一般就労を目指せる利用者がとどまり続ける一因になっている可能性も指摘されています。現時点で具体的な減算措置が決まったわけではありません。しかし、工賃や就職者数といった一部の数字だけに依存した経営は、今後の報酬評価で見直しを迫られる可能性があります。

■工賃以外の「支援の質」
就労継続支援B型などでは、工賃額だけでなく、利用者への丁寧な支援や地域機関との連携も評価すべきとの意見が示されています。

しかし、こうした支援は数字に表れにくく、重度者への支援や関係機関との調整に取り組むほど、現場の記録負担は増えていきます。

さらに、利用者の高齢化に伴い、グループホームなどでの看取りも課題です。施設だけで抱え込まず、医療機関や訪問看護との連絡方法や役割分担を平時から共有しておく必要があります。

■改定前に進めたい「見える化」
次期改定に備え、重度者の受け入れ状況や断った理由、本人の変化、地域機関との連携内容を記録し、支援の過程を説明できる体制を整えることが重要です。

工賃や就職者数に加え、「誰に、どのような支援を行ったか」を示せる事業所づくりが、今後の報酬評価への備えとなります。

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